人気ブログランキング |
分離派会館 /2日目
美術史美術館を出た後、ゆっくり歩いて分離派会館に向かいました。
セセッション、セセッシオン、ゼツェッシオンともいうみたいで表記はまちまちなので、いっそ日本語訳で。
ここはウィーン分離派が、専用の展示施設として開いた美術館です。ウィーン分離派というのはグスタフ・クリムトが新しく作り出した美術グループ・・・らしいんだけど、理念などは今ひとつよくわからないので割愛です。
b0041253_23323229.jpg

「時代にはその芸術を。芸術には、その自由を。」っていうスローガン(?)も読めます。

ここに来たかったのは、クリムトが作成したベートーヴェン・フリーズという壁画があるからなのです。
この作品は、他の作家さんが創るベートーヴェンの像を中心テーマとする展覧会で展示するとして制作されたようです。
ベートーヴェンの交響曲第9番をモチーフとして創られた作品ということで、とても楽しみにしていきました。

受付でチケットを買って、展示室へと降りていきます。展示室は、地下にあるのです。狭い階段を下りていくのはなんだか息苦しくて、人を不安にさせる雰囲気です。下りきって、一つ小さな部屋を抜けると、天井が高い広い部屋に出ました。白い、と感じる部屋です。壁は、作品以外の部分は真っ白です。床も簡素でした。コンクリート打ちっぱなしだったような・・・でも記憶があやふやです。いっそ素っ気ないほどの雰囲気の中、首を傾けて見上げる高さで、「ベートーヴェン・フリーズ」はありました。

この作品は、大きく三面にわかれます。「幸福への憧れ」「敵対する力」「歓喜」の三本です。(←サ○エさんの次回予告みたいだ)

「幸福への憧れ」にはふよふよと浮かぶ女性達が並んでいます。骨の存在を感じさせないようななだらかな曲線の肢体。これは人間の憧れを象徴する・・・らしい。その隣には黄金の甲冑をつけた騎士がいます。彼はマーラーに似せて描かれた・・・ってことなんだけど、ピンとはきませんでした。人間の弱さを象徴する男女は、骨と皮のような体つき。人間なのかわからないような「あこがれ」の皆さんに比べて、あくまでも人間です。彼らの哀願に答えて、騎士は人間の幸福を求める戦いに出ます。騎士の背後をみまもる二人は「野心」と「慈悲」を表す、天使なのか妖精なのか精霊なのか。なんか、訳がうまくないなー。自分の中では、火打石で切火をする心境と言うか、旅の間の安全を祈りつつ、やり遂げろよと励ますような。

「敵対する力」は真ん中の壁です。少し短め。
ゴリラみたいな怪物というか悪い神様になるんかな(解説書にはGodって書いてある)、「病気」「狂気」「死」を象徴する三人のゴルゴン、「情欲」「不貞」「不摂生」を象徴する三人の女性が描かれています。よくないことを象徴してるのは、全て女性なんだよなー。で、そのまっただ中に苦しみ悲嘆にくれる女性がいます。これでもかというほど折り重なってやってくる苦難です。

「歓喜」が最後の壁。
憧れを象徴するふわふわ浮かんだ女性達が、「詩」を象徴する女性を見つけます。真っ白な壁をはさんで、そこから金色の世界が生まれます。真っ白な壁は、歓喜の渦に巻き込まれる、その直前で一瞬眩しさに視界を失ったようなかんじ。(本当は、他の作品と同時に展示されるので、全体をよりよく見せるための構成上、白壁になったのではないかと推察します)その先には様々な芸術を象徴する女性達が。芸術が、人間を理想世界へと導きます。何人もの女性が合唱し祝福する理想世界では裸の男女がつよく抱擁しています。この男性は、甲冑の騎士なの?甲冑はいらなくなったの?彼にとっての「幸福」がこの抱擁で満たされたのでしょうか。よいことを象徴しているのも女性なのですが、なんだか、ちょっと不安がよぎるのはわたしが女性だから?

幸せをさがして、理想の世界にたどり着けたのは芸術を見つけたから。
芸術だけが人間を理想の高みにみちびける。
そんなメッセージが込められている・・・と思われます。たぶん。

いろんなことを象徴しているのは女性達なのですが、彼女達の表情がそれぞれ個性がありました。妖艶な表情を浮かべる女性もいれば、うつろな表情だったり、恨みがましいような表情だったり。

うまくいえないけど、女性にいろいろな側面を背負わしていることになんだかちょっと不安を覚えました。なんだろう、このざわっとする感触。
これって、男性が見たらまた感想が違うのかなあと思い、誰かに見せてみたいような気がしました。

観に行ってよかったです。
美しくて、メッセージ性があって、息を詰めて見つめてしまうような力がありました。

注:絵に描かれている「象徴」などは、一応現地で買った薄いリーフレットの解説書によるものです。それに自分の感想を重ねているので本来の意味合いとは変わって来ていると思われます。不快に思われたりした方がいらっしゃったらすみません。
by ckaede | 2009-09-17 14:30 | 旅(ウィーン/プラハ編)
<< 迷子とウィーン風カツレツ / 2日目 美術史美術館 / 2日目 >>