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色紙に書かれた
体育館のフロアの上。ぺたんと足を付けて座っているわたしに、大きな紙製品が手渡された。
「はい、これはかえでさんに。みんなが書いてくれたらしいですよ。はなむけに」
はなむけって何だ、わたし、これからどっか行くのか?
疑問を覚えて彼の顔を見上げたが、質問を遮るように、その贈り物を差し出してくる。ま、いっか、とりあえず見てから・・・・と、色紙がちょうど二枚中表に綴じられているような体裁のものをうけとった。
ぱかり、と開く。
最初に目に映ったのは左側。円を描くようにいくつかの四角形が並んでいる。四角形の中にはそれぞれ筆跡の違う手書き文字が並んでいる。寄せ書きの形式だ。そのうちの、十時の位置にあたるところにあった四角形に目がとまった。
書き出しはこう。
「私がこれに当たるとは思ってなかったな。○○。」
○○っていうのは人名で近しい人。同僚だけど、まあ、友人って言ってもいいんだと思う。
「当たる」って「これ」って何だろうと読み進めてみる。
「あなたの死に際。
 足首の高さまでのびた、草の上で。背の高さより深くつもった雪の上で。夏の暑いアスファルトの上で。強く頭を打って。耳からのあたたかい流れはあなたの血液。」

なんじゃこら?と思うものの、冗談にしていいのかわからず、凶々しいものを感じてしまっては続きが読めなくなってぱたりと冊子を綴じてしまった。
渡してくれた人を振り仰いで、何かを問おうとして、相手の目を見ようとしたのになぜか目が見られず、彼の眉間に勝手に視線が集中してしまう・・・・・ところで目が覚めた。

あの冊子は預言書という設定だったのかなあ?
by ckaede | 2010-01-23 18:24 |
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